ロードレースを知らない人でも絶対に楽しめる『サクリファイス』

ロードレースにはエースとアシスト、という役割がある、
くらいのことは知っていたけれど、それ以上の知識はなく、
物語に入り込めるかなあと思いながら読み始めたが、
あっという間に違和感なくこの世界に入り込めた。

すごい、これ。
ぐんぐん引き込まれる。
たぶん、男性とか女性とか関係ないと思う。
騙されたと思って読んでみてほしい。

ロードレースとはなんと過酷なスポーツだろう。
日本人が好きそうなスポーツなのになあ。
エースを勝たせるために自分の勝利を捨てて”犠牲”になるアシスト。
個人競技のようで、団体競技。
団体競技のようで個人競技。
なんとも不思議なスポーツだ。

テレビでもあまり放映されないから、
ツール・ド・フランスの名前くらいしか知らなかった私でもすんなりと読めて、
一緒にコースを走っているような疾走感を味わえた。

もちろん、これはフィクションだから脚色している部分もあるし、
Amazonのレビューなどでは「ロードレースはこんなものじゃない!」と
噛み付いている方もいらっしゃるけれど、
ロードレースの概要を知ってからレースを見ると
すごく面白いスポーツなんだよ、ということがわかるわけだから、
それだけでも十分なエンターテイメントになっていると思うわけで。

ただ・・・この物語のキーパーソン、石尾さんの人物像、キャラクターに
もう少し踏み込んで描いて欲しかったと思う。
個人的には、すごく好きなキャラなんだ。
ストイックでプロ意識の固まりのような人。
その辺が少し薄い感じがして、”惨劇”の原因が思い切り”フィクション”になってしまう。
もう少し物語として完成されたものにするならば、読み手がもっと感情移入できるよう、
石尾さんのストイックさをこれでもか、と描いてあった方が、ラストに納得がいったかな、と思う。

とはいえ、このスピード感。
ぜひ味わってみてほしい。


2015/07/06

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