Category Archives: 映画化されている推理小説

最後まで読んでようやく分かるタイトルの意味『インシテミル』

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超古典的なテーマなんだけど

閉ざされた空間で1人1人殺されていく…この超古典的なテーマをどう面白く読ませるのか。今回は1人1人に与えられた凶器が違うのだから、それを見せ合えば一目瞭然、お前が犯人だ!で終わってしまうではないか…などという私の心配は杞憂だった。やはり、一筋縄ではいかない展開が待っていた。

なんといってもこの作品の面白さは古今東西のミステリとの絡みだろう。各自に割り当てられた鍵のかからない個室には“おもちゃ箱”が置いてあり、その中には凶器とその出典、殺害方法が記された〈メモランダム〉が入っている。これが必ずしも出典が正しいわけでもなかったりするのだが、古今東西のミステリをどのくらい読んでいるのかによって面白さが変わってくる作品なんだと思う。ミステリが好きで、いろんなジャンルの作品を読んでいる人にはそういう面白さもあるだろう。

やはり、してやられてしまった

私は結局犯人がわからなかったから、してやられたということだが、主人公・理久彦の楽天家ぶりが作品全体を陰湿にせず、むしろゲーム感覚(その方が恐ろしいか)で進んでいくかのようで重苦しくなることなく読めた。

面白かったのだが、惜しむらくは、時給11万2千円という高額バイトを募集した雇い主の目的がよくわからないので、このメンバーが集められた理由もぼやけていること、閉ざされた空間の恐怖はわかるけれども、そう簡単に殺人が起きるものかな、という感じがしなくもない。

とはいえ、この厚さの本を一気に読めたのだから満足であるよ。

映画もあるよ

映画はまだ見ていないが、登場人物と映画のキャストは必ずしも一致していないようなので、こちらも興味深々。

 

2014/09/11

映画化したのかこれを、と驚いた『果てしなき渇き』

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ちょっと、胸が悪くなるよ・・・

衝撃的なプロローグから胸をえぐられるようなあらゆる暴力のオンパレード。「このミス大賞受賞」という帯にひかれて買ってみたものの、何度途中で読むのをやめようと思ったか。

元刑事の藤島は元妻からの連絡で行方不明になった娘を捜し始めます。しかし、元刑事とは思えないほどあまりに常識はずれで暴力的で、しかもなんだか性欲の固まりのようなこの男にまったく共感ができません。親ならもっと他の心配の仕方があろうかとも思いますが、離婚したのも警察を辞めるはめになったのも自業自得だと納得するほどまあ中身はぼろぼろの男ですね。

映画では、この男を役所広司さんが演じるのね。

しかも描かれているのは、世の中の悪という悪を集めたかと思えるような裏社会。こんなものがほんとにあったらどうしよう、あるとするなら、死ぬまでそんなものとは無縁でいたいと思う、言葉では表現しきれない不快感があります。

この話に、救いはあるんだろうか。

それでも読んでしまったのは、娘の加奈子がどうしてそんな裏社会とつながりをもつようになってしまったのか、どうしてそこまで冷徹な人間になってしまったのか、3人の子をもつ親として興味があったからかもしれません。

この小説の行き着く先は、どこかにほんの少しでも救いはあるのか、吐き気がするほどの暴力描写に耐えながら(笑)最後まで読んで・・・
せっかく買った本を途中でやめることはほとんどないので、がんばって最後まで読みました。

ああ、全てはこの最後のページのためだったんだな、と納得しました。この父親はとんでもない馬鹿で救いようのない親父だと思いますが、この男なりに娘を愛していたんだとわかりましたよ。

激しい暴力描写はとてもとても、と思う方にはおすすめできないんですが、ただ、読み始めたら最後まできちんと読んだ方がいいと思います(途中でやめると不快感だけが残るので)。最後まで読むと、ほんのちょっとだけ気持ちが持ち直しますよ。

映画は大筋原作通りのようですが、どうだろう、何を表現したいのか正直よくわからんです。たぶん、見に行かない。

2014/07/18

小説ならではの作品だと思っていたら映画も面白かった『ハサミ男』

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『ハサミ男』殊能 将之 講談社文庫

この不穏なタイトル、とても期待してページを最初にめくったのは2005年。今読み直してもおもしろい。

読んだあとに、この小説が映画になる、と聞いて驚いた。

この作品は著者のデビュー作で(これがデビュー作!?という出来。さすが1999年メフィスト賞受賞作)読んだことのある人ならばわかると思いますが、これをどうやったら、映像化できるんだろうと考えましたよ。最初に読んだときには、小説ならではの楽しみというか、映像では絶対に表現できないおもしろさだろうなあと考えていたから。

結構厚い本ですが、先が気になってスイスイ読めてしまいます。メインテーマは、刃の先をわざわざ研いで細らせ、それを首に突き立てるという「猟奇殺人」ですから結構えぐいのですが、捜査をする刑事さんなどが結構憎めないキャラクターだったりして、楽しく読むことができるのです。

私が想像したハサミ男は・・・色白、少し小太り、メガネをかけてる、年齢は20代からいっても30少し過ぎたくらい・・・そう、秋葉原なんかによく通ってそうな風貌。なんとなく、猟奇的な殺人犯にぴったり!?普段はおとなしくてどちらかというと目立たない、いわゆる「普通の人」。たぶんこれを読んだ人はそんな感想を持つのではないかなあ。

捜査をする刑事の視点と、ハサミ男の視点の両側から話が進んでいきます。同じ場面でも見る角度が違うとおもしろいものです。ハサミ男は自分がやっていない殺人が「ハサミ男」の仕業としてマスコミに取り上げられ、真犯人を探そうとするのですが、なんだか自分がハサミ男になったような気分で読めたりして。

映画の方は、賛否両論ですね。映画は映画として面白いけど、やはりこの作品のすごさを映像化するのはちょっと難しかったのかなと思う。しかしながら「別物」として見れば、ハイ有人の演技も素晴らしいので、それなりに楽しめるのではないかと思います。

映画には麻生久美子さんが出演してらっしゃいますが、麻生さんといえばこちらの作品もとてもいい作品ですよ。

『夕凪の街、桜の国』

2014/07/06